アイの日記 〜宇宙とつながる脳性麻痺のおばあちゃん〜

宇宙とつながるスピリチュアルなアイちゃんの日記です

石崎アイ 〜 生い立ち 11 〜

嬉しいお手伝い

 

アイは朝食を済ませて、みんなと一緒にお部屋に戻ろうとしましたけれどおせっかい焼きの性格は、見て見ないふりができなかったので、 手洗い場の水が出しっぱなしになっていたことが気になって、途中で水を止めに戻ったのです。 水道の水を止めようとしたはずなのに、それがアイの運命を変える羽目になったのです。 そばに大きなバケツが置いてあって、中に台拭きが30枚ほど入っていたので、綺麗にすすいでバケツのふちにかけておきました。 

すると先生たちがびっくりして、アイの手を取って非常に喜んでくれたのです。 指導主任の田中先生は、あの観音様のような口調で非常に気に入ってくれました。

「あらありがとう!アイさんお手伝いしてくれてるの!あなたのおかげでとっても助かるわよ。 朝は忙しいからね本当にありがとう!」

アイは自分がやりたくてやったことなのに、こんなに喜んでもらえるとは思っていませんでした。 アイはいつも何か人のためにできることをしたいと思っていました。 

アイの夢は、誰も気がつかないでいることを自分が気がついてやることが人生の大きな財産になると思っていました。 アイはとても嬉しくて、自分は良いことをしていて良かったと思い、今はつらいことも。 つらいことかもしれないけれど、今に必ず良いことがあると信じていました。 家が貧しかったアイは、あまり着るものを 買ってもらうことができませんでした。ズボンに継ぎの当ててあるものを着ているのは、アイぐらいで誰も他にいませんでした。 年頃のアイはとても恥ずかしいと思っていたけれど、仕方がないのでなるべく次の小さいものを選んできていたのです。 お洗濯場へ行ってみても、継ぎのある赤いコールテンのズボンで、足首にゴムの入っているものは、アイのものだとすぐにわかりました。みんなのように綺麗な洋服が着れたらどんなに嬉しいか。 非常にみんなのことが羨ましく思ったりしていました。 そして、施設はほとんど見学者が多くて団体の視察者が来ると、入園者は動きが取れなくなってしまいます。 

指導員の先生たちの指示に従って訓練の演技をするのです。 まるで動物園のサルがチンパンジーのような感じになってしまいました。

「糞!なんでこんなことをしなきゃいけないんだ、見世物じゃねぞ!」

と、アイは鶏冠に来てしまい、非常に不愉快な思いをしていました。 みんな、 夜みんなから話を聞いて、施設というところはこういうものだということを知らされました。 

療護園の生活にもすっかり慣れたアイは、 朝夕のお手伝いが日課になってしまいました。ある時、アイは職員室に呼ばれて、たくさんの洋服をもらったのです。 先生たちはアイの心境をわかってくれていたのか、よくお手伝いをやることからのことでした。

「あなたは自分の意思でお手伝いをやってくれていたのね。あなたのおかげで先生たちをとっても助かっているのよ。アイさんあなたは毎日お手伝いをしてくれるのでね、これはお古だけれどもしよかったらと思ってね、お洗濯の洗い替えに来てちょうだい。」

アイは嬉しくて先生たちによくお礼を言いながら一生懸命頑張っていこうと思いました本当にいいんですかとっても嬉しいです。先生ありがとうございます早速着させていただきます。良いことをしていれば必ず報われるものだとアイはしみじみ思ったのです。 そして療護園に入ってくる人もいれば出て行く人もいるので、せっかく仲良しになっても別れなければならないのです。 アイは先輩たちからレース編みやビーズ細工の編み方を教わって一生懸命やりました。 
最初は手がよく動かなくて日にちはかかったけれど、どうにか完成できました。 先輩たちはとても褒めてくれて、アイも仲間に入れてくれました。
「あらあできたじゃない!わぁおめでとうアイさん、やればできるじゃん良かったね!」
 
アイは先生たちから喜ばれたり、先輩たちからも褒められたりで最高の喜びでした。だんだん体も大きくなってきて、お腹がすくようになってしまいました。 夜小さい子供たちが眠った後、先輩たちがコソコソと内緒話をしていたのです。 
アイも呼ばれて何のことかと思っていたら押入れに入ってカサカサをどう立てて何かをやっているのです。アイは何をやってるのか聞きました。先輩たちは アイに大福もちおやきなどたくさん分けてくれました。
「シィー、アイさんもおいで、これから内職をやるんだよ。 誰にも言っちゃ駄目よ。 わかった?さあおいで」
昼間先輩たちがコソコソ内職をして、したとか言っていたことはこれなのかと思いました。うんわかったありがとう、みんなが内職だって言うから、何の仕事かなって思ったんだよ食べることだったのか。 
先輩たちは、アイが納得する と安心したように、笑いながら頭をなでてくれました。 みんな17、8の人たちだから、両親や友達が面会に来ると、こっそりもらってしまうのです。 先輩たちの行動はうすうす先生たちも感づいていたかもしれません。しかし小さい子供たちの場合は、面会者が来て帰った後は食べ物が入っているかどうか先生たちは必ず荷物を調べて、食べ物が入っていると取り上げられてしまいます。
 
小包の場合も同じです。それは団体生活の規則で仕方がないことでした。1人がウイルスにかかると、100人全員が病気になってしまう恐れがあったからなのです。 親元を離れてきた子供たちを預かっている施設職員としては1人1人が責任重大でした。 しかし人間は個性と節度をうまく調和していなければならないと思うのです。 心のある人でなければ、純粋な子供たちの心に傷を入れてしまうこともあります。 指導員の中にも規則正しい義務的な人もいれば、寒い冬に暖炉のぬくもりのような厳しいけれど優しさがあって心を癒してくれる指導員もいました。 
1人でも意見の合わない指導員がいると、入園者までも、 影響を及ぼされることになります。 大人の世界では難しいと思い、アイは大人になるのはつくづく嫌だと思いました。先輩たちは指導員たちの姿を例に挙げて、アイにいました。
「私達はもうすぐ退園していくからいいけどね、アイさんたちは訓練頑張るんだよ!わかった? いい先生がいっぱいいるから心配しなくていいでいいよ」
アイは先輩たちの言葉を聞いていて悲しくなって泣き出しました。 
ほら、なかないでほらないじゃ駄目だって、そういながら先輩たちも泣いて自分たちのハンカチでアイの顔をふいてくれました。 こうしてアイはみんなとの友情がさらに深まっていったのです。 そしてお財布一つできたことで、アイは嬉しくて半年ぶりで母親に手紙を書きました。 両親が先生方に預けているお小遣いから先生に材料を買ってもらって、友達から教わって作ったビーズの財布を以下はどうしても母まつ江に見せたかったのです。 お腹がすくから先輩たちと食べる美味しいない色のものを持ってきてなどと書きました。しばらくして母まつ江は心配し、アイの様子を見ながら面会に来てくれたのです。 
アイはみんなからも職員からも人気者になって、 母まつ江にとって何よりの喜びでした。 アイは心の奥で母親を恨んだこと心もあったけれど、やはり母親ほど良いものはないことに気づいたのです。 まつ江はアイに頼まれたおやつになるものを先輩たちに渡してくれました。そしてまつ江はアイの成長している姿を見届けて安心したように帰っていったのです。 
 
まつ江は安心したものの、やはり母親としてアイを思う気持ちは変わりませんでした。 アイは玄関まで見送ったけれど母親の姿がだんだん小さくなるに従って、どうしようもなく涙がこみ上げてきて、玄関のガラス戸に顔を擦りつけて泣き出してしまいました。事務職の職員たちがアイをなだめるように部屋まで連れて行ったのです。 先輩たちが合いの手を引いて、養護学校の方まで遊びに連れて行ってくれました。 だんだんアイも機嫌が直ってきて、内職の相談をし始めたのです。 こうした繰り返して施設生活や団体生活のあり方が自然と身についていきました。