アイの日記 〜宇宙とつながる脳性麻痺のおばあちゃん〜

宇宙とつながるスピリチュアルなアイちゃんの日記です

石崎アイ 〜 生い立ち 4 〜

まだ5歳のアイには理解は無理なことで、ただ唖然として聞いていたけれど、だんだん苦しくなってしまい、怯えて泣き出してしまいました。

アイはバスタオルにくるまったまま、父親のそばへ連れて行かれたのです。

そして母松江の言葉がどれだけアイの心の衝撃になったことか、目にいっぱい涙をため、母親の血顔と父親の顔を見つめていただけでした。

省吾は黙って新聞を見ていたけれど、まつ江の言葉を聞いていてどう思ったのか、その後アイは、とにかく母まつ江の言葉が大嫌いになってしまったのです。

アイは母親の言葉を聞いてから父親に変な気遣いを覚えてしまい、オシッコしたいときでも、父親に素直に言えなくなって、我慢をするようになってしまいました。

そしてアイは父親に甘えたり、欲しいものをねだることができなくなってしまったのです。

アイは両親に言いたい言葉もスムーズに言えなくなってしまいました。

父省吾は、アイの心を何とかほぐそうといろいろやってみたけれど駄目でした。

アイの心はだんだん下がっていくばかりで、父親が世話をしてやろうとしても良いと断るようになってしまったのです。

 

アイは、母親と祖母に世話をしてもらわなくてはならなくなってしまいました。
省吾は気持ちがだんだん拗ねてしまい、まつ江にぶつかるようになったのです。ミツは、アイの様子に気づいて、まつ江から聞き出したのを聞き出しました。
まつ江はそっけなくどうせわかることだもの。アイのために話して聞かせたわぃ、
そして前の夫との経緯から悪口まで話したというのです。
ミツはまつ江の言葉を聞くと、めったに怒らない人だけれど、人が変わったように目の色を変えてまつ江を怒りました。
「つまらないことを聞かせたものだ。もっと大人になってからでも遅くはねだやつ。我、それでも母親の資格があるだか馬鹿なものだ。」
祖母ミツは泣きながらアイの顔を袖で隠すようにして抱きしめました。
 
そして月日が経つに従って合いもだんだん物事の判断ができるようになって、11月20日はえびすこうで朝から花火が上がって雪が舞う寒い日でした。当時のえびす講は夜昼と花火が上げられ、ちんどん屋が歩いていたのです。あたりは薄く、雪化粧をされていてとても寒い晩でした。夕食を済ませ、まつ江と省吾は敬一を連れて買い物をしながらちんどん屋の芝居を観ると言って出かけていきました。寂しそうにしているアイに、防空頭巾をかぶせて、ミツはアイを背負い、打ち上げ花火を見に外へ出ました。「ほれ、おんぶしろな。あれも、花火を見たからずばさ」この後悲劇が待っていようとは誰も知る由もなかったのです。ミツは、アイと心置きなく花火をみて鼻歌を歌い満足して帰りました。
そして玄関に入ると、ミツはびっくりして背負っていたアイを台所の上り口に放りつけたまま転がしたまま飛び込んでいきました。善治郎がこたつに横たわって助けを求めていたのです。
「おおい、おらへんなものになってしまったわや!」
善治郎は酒をたらふく飲んだ後、熱い風呂に入って脳卒中で倒れてしまったのです。その後、祖父は半身不随どころか、喋れないし、寝たきりの状態になってしまいました。頑固な善治郎は、効かなくなった手で看病するミツをよく叩きました。ミツは善治郎の管理をしながら、孫のアイや敬一の子守をしなくてはならないのです。善治郎がミツを怒るのは見て、アイは善治郎に口を聞いたのです。
「ばあちゃんかわいそうじゃねか、馬鹿じいちゃんやめろ馬鹿!」
善治郎はなおも怒って、アイに急須の水をかけて泣かせました。ミツはうなずきながら、アイの頭を撫で慰めていたのです。散々に好きな生き方をして、酒で財産を潰すようなことをして善治郎は、昭和28年8月の暑い盛りにこの世を去ってしまいました。ミツは善治郎が亡くなってほっとしたように毎日眠ってばかりいました。
アイはそんなミツを見て心配になって昔話をしてもらうことにしたのです。